債務整理
債務整理
はじめに
借りたお金は返すのが原則ですが、リストラや会社の倒産、病気といった事情で収入が減少したり、保証人になっていたりといった事情や、借りすぎなどで、どうしても支払いができなくなることがあります。
そのような場合に、さらにお金を貸してくれるところがあったりすると、そこで借りて支払うこともあるかもしれませんし、土地建物といった不動産や自動車、保険の解約返戻金や株式などの財産があれば、それを処分して支払うこともあるかもしれません。
しかし、それでも支払えなくなった場合はどうなるでしょうか。
保証人を付けていた場合は保証人に請求が行くことになりますし、自宅などの不動産を担保に借金をしていた場合は手放さなければならなくなります(ローンで購入したものについても、払い終わっていなければ、ローン会社に返品しなければなりません)。
また、お金が返ってこなかった貸し手についても、大きな銀行や金融会社にはあまり痛手にはならないかもしれませんが、無理をして貸してくれた親戚や知人の方には、やはり迷惑がかかることになるでしょう。
親戚や知人から借りたり、保証人を付けて借りたり、自宅を担保にして借りたりなどといった場合は、自分以外の人にも迷惑がかかってしまうことになります。ですから、もし今借りているお金を返すことができなくなった時は、あまり被害が広がらないうちに、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
もちろん、どうしても支払いが出来ない状況であれば、迷惑をかける覚悟で破産などの法的手続をとらざるをえませんが、無事に解決できる可能性もあります。
借金を整理する方法について
まず、今お持ちの財産を処分すれば借金を返すことができる場合、例えば、お持ちの不動産や自動車を売却したり、保険を解約して解約返戻金を受け取ったり、株式や貴金属を換金したりといった形でお金を作りさえすれば借金を返済できるという場合は、原則として、これらを処分して返済しなければなりません(もちろん、生活に必要なものなど処分しなくても良いものもあります)。
借りたお金は返すのが原則ですし、破産や個人再生と行った法的手続も、お持ちの財産は全て清算して借金の返済に充てるということが前提になっているからです。
また、破産や個人再生と行った法的手続は、全ての債権者(貸主)を平等に扱うことが原則ですので、ある貸主には返して、ある貸主には返さないということはできません。全ての貸主に同じ条件で返すか、全く返さないかということになります(但し、住宅ローンだけは例外があります)。
さらに、法的手続は裁判所で行いますので、多くの資料を集めなければなりません。法的手続は非常に強力な手続ですので、借金を大幅に減額できるか、免除してもらうこともできますが、その分労力もかかります。
法的手続によらない場合は、話し合いで解決する、いわゆる任意整理と呼ばれる方法をとることになります。この場合はあまり借金の額は減りませんが、法的手続に比べれば融通が利きます。
過払いについて
過払いとは利息の払いすぎです。利息制限法上は15〜20%の利息を取ることしか認められていませんが、ある条件を満たした貸金業者に限っては、約29%まで(日掛け業者の場合は約54%)まで利息を取ることが、貸金業法によって認められていました。
しかし、最高裁判所が、ほぼ全ての貸金業者が、利息制限法を超える利息を取るための条件をこれまで満たしていなかったと判断したことから、貸金業者がこれまで取っていた利息のうち利息制限法を超える部分は違法に取っていた利息であるから、貸金業者は、利息制限法の利息で計算し直した額しか返済は受けられないし、もし取りすぎがある場合は借り主に返還しなければならないことになりました。
そこで、貸金業者と長く取引を続けていれば、違法に取られていた利息も多額になりますので、これが返してもらえる可能性が出てきたのです。
もちろん、払いすぎた利息の額以上の借り入れを行っていたり、あまり大きな金額を借りていなかったりした場合は、取引期間が長くても帰ってこない場合はありますし、時効などの難しい法的問題もまだ残されています。
しかし、違法に取られていた利息の部分を除いて借金の額を見直せば、借金の額が大幅に減ったり、逆に貸金業者からお金を返してもらえる可能性があることも事実です。
高額な利息で長期間の返済を続けられている場合は、1度ご相談されることをお勧めします。
借金を整理する場合の不利益について
借金を整理する場合の不利益は、まず、保証人を付けて借り入れをしていれば保証人に迷惑がかかったり、自宅などを担保に借りていれば、担保に入れていたものやローンで購入している物を失ったりといったことがあります。また、破産する場合は、保険の外交員や警備員をしたり、会社の代表取締役や後見人に就いたりすることができなくなります。
さらに、いわゆる事故情報が情報機関に登録されてしまいますので、新たにお金を借りたり、クレジットカードを作ったりすることも難しくなります。
しかし、破産をしても選挙権が制限されたり、住民票や戸籍に破産の事実が載ったりといった、よくいわれるような不利益はありません(もっとも、市町村は、ある人が破産者かどうかを証明する身分証明書を発行する必要性から、破産者を記録しておく名簿を作成していますので、この名簿には一定期間登録されます)。詳細についてはご相談いただく際にご確認ください。
借金を整理する手段の選択について
お持ちの財産を処分したり、違法な利息の計算し直しで、無事に借金が返済できる場合は良いのですが、そうでない場合は、破産や個人再生と行った法的手続を採ることになります。
簡単に言えば破産は借金をゼロにする手続で、個人再生は借金を減額してもらった上で3年〜5年かけて支払っていく手続です。
個人再生には、住宅ローンだけ例外扱いにして、自宅を失わずに住宅ローン以外の借金だけ減額する特別な手続もあります。
いずれにしても、最終的に支払うことができる金額や、今後の生活との関係で、よく検討の上でご選択いただくことになります。