面会交流って何? (吉川弁護士)
面会交流という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
面会交流(面接交渉)とは、一般には別居中または離婚後に、子どもを養育・監護していないほうの親(非監護親)とその子どもが、子どもを養育・監護しているほうの親(監護親)の協力を得て、会ったり、手紙や電話で交流をすることをいいます。
離婚事件などの家事事件は増加傾向にあり、弁護士の方であれば、面会交流の事件に関わることが多くなってきたと感じている方も多いと思います。
私が、面会交流に積極的に関わるようになったのは、ある事件がきっかけでした。特定できないようにするために、事件を抽象化・簡略化しますが、DVがきっかけで離婚した事件でした(ちなみに私は妻側の代理人でした。)。 離婚後、非監護親の父親が面会交流の調停を申立してきたのですが、家裁で試行的面会交流をしたものの、うまくいきませんでした(調停としては終了しました。)。しかし、その後、妻が引き取った子どもたちは、今までは、表面化していなかったいろいろな問題行動を起こすようになり、それが父親の耳にも入ったのです。そのため、父親から再度、面会交流を求められるようになりました。そこで、やむなく、私が仲介に入って面会交流らしきものをしようとしたのですが、これもいろいろな意味で、うまく行きませんでした。私は、このとき、面会交流を仲介してくれる第三者機関が岡山にもあったら良いなと強く思いました。
よくよく考えてみると、家裁で面会交流の調停がうまくまとまっても、結局、離婚した当事者(別居中の当事者)がなんらかの形で接触をしなければうまく面会交流ができるはずがありません。離婚した場合でも当事者の感情的対立があまり深くない場合などは良いのですが、DVなど特に感情的対立が強く、顔も見たくない、声も聞きたくないというような場合には、誰か仲介する人がいないと非常に難しいのです。
もっとも、そこまでして、子どもの面会交流は重要なの?という疑問もあるかもしれません。私の両親は、幸い?なことに離婚はしませんでしたが、私が子どものときに夫婦げんかはかなり多かったと思いますし、私自身、父親(既に亡くなりましたが)に対してはいろいろな思いもあるのですが、それはともかく、子どものときに、一方の親だけではなく、他方の親との接触があったということは振り返ってみると、良かったなと思います。
あるベテランの弁護士が面会交流に関して「世の中に完璧な人間なんていません。よい父親だけが父親と認められるのではないと思います。自分には両親が居て、欠点はあっても自分のことを大事に思ってくれていると子どもが感じることは、子どもの幸せに必ず結びつくと思うのです。」とホームページに記載されていました。
面会交流の意義はいろいろ言われておりますが、素朴な意味で共感を覚えました。
前置きがだいぶ長くなりましたが、以下のような講演会を予定しております。
一緒に面会交流について考えてみませんか(参加無料、申込不要、誰でも参加可能です。)。
「面会交流と子どもの心」
講師:山口恵美子(公益社団法人 家庭問題情報センター主任専門員)
日時:平成27年9月14日(月) 午後6時から8時
場所:岡山弁護士会2階 大会議室
主催 NPO法人 岡山家族支援センターみらい
後援 岡山弁護士会、岡山県、岡山市、岡山県教育委員会、岡山市教育委員会