【憲法と安保関連法案】 岡大支所 吉川拓威 憲法の概念は多義的とされていますが、どの教科書にも触れら...
憲法の概念は多義的とされていますが、どの教科書にも触れられているのが、「立憲主義」という概念です。「立憲主義」という概念は、ともすれば濫用されがちな政治的権力を憲法という「法の枠組み」の中に閉じ込めることによって、国民の権利・自由を守ろうとする思想・理念ということができると思います。
したがって、「枠組み」を超えてしまえば、必要性・政策論の議論に踏み込むまでもなく政治権力は行使できないことになるはずです。その意味で、違憲かどうかという「枠組み」の議論と政策論の議論はレベルの違う話であると思います。
もっとも、現実の社会はそれほど明確に「枠組み」を認識できません。100人いれば100人の考え方があります。違憲かどうかという「枠組み」の話と政策論の話はそれほど明確に区別できない側面もあるかと思います。
しかし、それでも立憲主義を前提にする以上、違憲かどうかの「枠」はどこまでなのかを国民1人一人が意識して考える必要があると思います。
安保関連法案については、元最高裁判所の長官をはじめ、憲法学者のほとんどが「違憲」であると主張し、全国で反対のデモが多く行われている状況があります。このような状況で強行的に採決することは「枠」に関する議論をないがしろにしているように思えてなりません。
さらに、政策論としても、安保関連法案によって本当に抑止力が高まるのか、それとも逆に戦争へのリスクが大きくなるのか、日本の国際貢献のあり方はどうあるべきなのか、など判断は相当に難しいと思います。
私自身も不勉強ではあるのですが、過去の歴史や現代社会のあり方を丹念に調べて、本当にそういえるのか考える必要があると思います。
したがって、このように問題が多い状況の中で強行的に採決する政党はもはや「立憲主義的」とも「民主的」とも言い難いのではないのかというのが素朴な私の感想です。