島根あさひ社会復帰促進センターに行ってきました ...
島根あさひ社会復帰促進センターに行ってきました
津山支所 保坂 弁護士
島根あさひ社会復帰促進センターは、島根県浜田市にある刑務所で、PFI手法を活用して、施設の設計、建築及び運営の一部を民間事業者に委託して運営している刑務所です。
岡山県で実刑判決を受けて刑が確定した被告人は、通常1~2か月程度岡山刑務所に収容され、その後それぞれの特性等に応じて中国地方の各刑務所に振り分けられます。
島根あさひ社会復帰促進センターは、犯罪傾向の進んでいない男性受刑者などが収容される刑務所で、受刑者の社会復帰にとても力を入れており、さまざまな取り組みをしていることで有名です。
先日、私は、昨年私が刑事弁護人を務めた元被告人のXさんと面会するため、島根あさひ社会復帰促進センターを訪れました。
Xさんは、訴訟では、公訴事実を否認し、私も本気で無罪判決をもらおうと弁護していたのですが、実刑判決を受けてしまいました。Xさんは、被害者の方を結果的に傷つけたことに変わりはなく、被害者の方に申し訳ないという理由で、控訴はせず、そのまま服役することを選びました。私が判決後の接見でXさんからこの話を聞いたとき、1年後に必ず面会に行くからと約束し、今回の訪問につながったわけです。
Xさんは、訴訟時にはがっちりとした体型をしていたのですが、別人かと思うほど細くなっていました。刑務所の中では、班長となり、受刑者たちを取りまとめる役割を担っているとのことでした。
否認事件であったため、Xさんは、訴訟の場で被害者の方に心からの謝罪の弁を述べたものの、謝罪文を書くようなことはしませんでした。私は、今年に入り、Xさんから、私を通じて、被害者の方に謝罪文を渡して欲しいという希望や、治療費や慰謝料などを支払いたいという希望を伝える手紙をもらいました。
面会時には、Xさんは事件のことをとても悔やみ、被害者の方にはほんとうに申し訳ないことをしたと話していました。また、事件当時の自分の性格を振り返り、自分勝手だったと率直に認め、私の目からみると、今のXさんは、「人格者」というにふさわしい人物でした。 出所後の更生についてもとても前向きで、私は、Xさんの変化に感嘆するばかりでした。
私は、改めてXさんの弁護人をさせていただいたことに感謝するとともに、今後は被害者の方に対する償いの助力をさせていただきたいと感じました。