交通事故センター座談会

交通事故センター座談会(実施日:2017年5月31日)

(参加者・入口優弁護士,安彦俊哉弁護士)

<質問事項>
0. 簡単に自己紹介をしてください。
1. 交通事故事件の相談を受けるにあたって,心がけていることは何ですか?
2. 当事務所における交通事故相談の専門性とは何ですか?
3. 交通事故にあってしまった場合,まずするべきこととしてはいけないことってありますか?
4. 依頼者の負担として大きいこととそれに対して弁護士としてできることは何ですか?
5. 交通事故事件の相談を積極的に受けるための工夫は,どのようにしていますか?

< (0)簡単に自己紹介をしてください。 >

広報PT(以下PT):自己紹介を入口さんから。

入口(以下「I」):以前の座談会で,何回かしたような気がしますけど(笑)。横浜からきました,玉野支所に所属している弁護士の入口です 。そんなもんでいいですか?

PT:いやもう少し。なぜ今日,交通事故座談会に呼ばれているのか。

I:交通事故センターをパブリック所内で立ち上げることになって,一応責任者的な担当者的な立場であったので呼ばれています。交通事故の案件もこれまでそれなりにかどうか分かりませんけどある程度の数をこなしてきました。

PT:数十件くらい?

I:たぶん30件ぐらいあるんじゃないかと思います。正確にまだ数えてないですけど。

PT:まあ数十件にしましょうか。数百件やっている人もたくさんいますからね,この業界は。じゃあ安彦さんどうぞ。

安彦(以下「A」):えー,京都出身の弁護士で安彦といいます。前職は損害保険会社で働いていました。1年目は事故の調査業務を行い,2年目からは営業に移りました。勤務地は岡山と最後福岡で,最後はディーラーを中心とした企業へ営業していました。そういった損害調査の経験もありパブリックに入所してからすぐ交通事故センターへ配属されて今日インタビューに応じています(笑) 。

< (1)交通事故事件の相談を受けるにあたって心がけていることは何ですか? >

PT:じゃあ本題。交通事故の相談を受けるにあたって心がけていることは何ですか。入口さんから。

I:まずは最近任意保険の弁護士費用特約っていうものが増えてきているので,それが使えるんだったら相談料も無料というか特約で払ってもらえるので,本人は負担なくて相談ができます。示談交渉等代理の依頼を受ける場合も,基本的には300万円まで弁護士費用が保険会社の方で出ることがあるので,特約がついているどうかは必ず確認をして,自分についてなくても同居の親族の方がついていれば,自分の事故に使える場合も保険会社によっては大抵そういう範囲になっているので,まずはそういうことも確認をするようにしています。あとは交通事故証明書とかがあれば事前に持ってきてもらうとか,事故現場の図面とかを持ってきてもらったりして,事故のイメージができるように心がけています。

PT:では安彦さん。

A:まず定型文ですけど,人によって交通事故は一生に一度あるかないかの事件かなと思いますので,まずクライアントの不安を解消することを第一に心がけて相談にのっています。でまあ,法的な観点からも聞き取らなきゃいけないことがあるので,事故内容は正確に聞き取ること,保険の状況や,客観的証拠として現在何があるか確認すること,これまでの交渉経緯を聞き取ることを心がけております 。

PT:でも事案によって聞き取るポイントは変わりますよね。

A:そうですね。ある程度煮詰まって保険会社から依頼が来る案件もあるので,その場合実況見分調書とかも全部付いちゃっている状況の時もあるので。
I:状況によって変わってきますよね。
A:そうですね 。

PT:過失割合に争いがなかったらそんなに事故状況は詳しく聞かない?

I:そうですね。はい。

< (2)当事務所における交通事故相談の専門性とは何ですか? >

PT:わかりました。じゃあ次いきましょう。当事務所における交通事故相談の専門性と書いたんですけど,なんで交通事故センターを作ったのかその経緯みたいなものを説明してください。

I:もともとパブリックの所内には,交通事故センター以外にも他のセンターがあるんですけども,パブリックっていったら「何でも相談受けます」みたいな形で,今でこそ後見はかなり専門性があるって認知されていますけど,交通事故も含めて専門的っていう認知もないこともあって,その専門性っていうのを内部的にもちゃんと情報を共有して,外部的にも宣伝ができるように取り組んでいった方がいいんじゃないかというような議論が所内でありまして,センターというものを立ち上げてそういったことを目指していこうというようなことだと記憶してます。
A:質問は交通事故の「専門性」とは何かということでいいんですかね。

PT:はい。

A:交通事故の処理にあたっては,損害保険の知識や保険代理店・保険会社との交渉が必須になるというので,保険知識がどうしても必要になると思います。そこで当事務所ではFP(ファイナンシャル・プランナー)の資格取得を奨励しており,すでに資格取得をしている弁護士や事務員も在籍しております。あんしん終活センターと交通事故センターで損保・生保の知識がどうしても必要なので,知識の習得をやっています。
I:ちなみに,FPの知識と交通事故との関係は?
A:FPの試験に,「損害保険」の科目があります。人身損害とは何かとか,自賠責の知識とかも全部入ってくるので,直結します。あんしん終活センターも事業承継がそのまま入っているので科目と関連します。あとは相続税,所得税とかも全部かかってきますので関連するところがあります。

PT:全然知らなかったです。

A:あと,損害保険会社出身者として,弁護士事務所内での連携を深めております。難事件と思われる事件は専門的知識を持った複数の弁護士が担当し,案件処理にあたっています。水谷先生と一緒に8件くらい持っています。

PT:内部的に交通事故センターを作ったことで,いい効果があったりとかはありますか?

A:本部で受けた案件とかでも,僕が所属する岡山大学内支所で一緒に複数で難事件は受けて,互いにフォローしあって処理できるってところじゃないですかね。弁護士一人で処理について悩みこむのではなくて,複数対応で処理でき,また,連携もできる。

PT:やっぱりこれまでは弁護士各自が,それぞれ事件対応していたのが,センターを作ることによって共有しやすくなるということですかね。事件に関するというか一般的な知識も含めて勉強会とかもしたりしてということですかね。

I:そうですね。ちょっとした情報とかも「こういう情報があります」っていうのも所内で共有できるようになったし,弁護士費用特約の利用の仕方も含めて,センターを立ち上げる前よりは情報共有が広がってきたんじゃないかという実感はあります。

PT:なんか知っているようで知らないことって意外と多くて,いつの間にかここの制度変わっていたんだっていうようなことがあるときに情報提供してくれると,ベテランの弁護士でも役に立つ所があるので,内部的な相乗効果というかそういうのはあるんでしょうね。

I:はい。

< (3)交通事故にあってしまった場合,まずするべきこととしてはいけないことってありますか? >

PT:次。依頼者の目線から見て,交通事故にあった場合,まずするべきことと,してはいけないこととはありますでしょうか。

A:まず,してはいけないことは,現場で示談です。もうそれです。現場で示談してしまうと法律的には和解の確定効が生じてしまうので,示談内容を無効なり撤回することはもう不可能だと思ってください。取り消しとかもです。
次に,すべきことなんですけど,当たり前なんですけどすぐに警察に連絡です。人身事故であれば,救急車で運ばれた場合は仕方ないんですけど,むち打ちの場合は人身事故として対応してもらう必要があるので,警察の指示にしたがって後日診断書等を提出ということですね。次にやることは保険会社への連絡ですね。保険会社にはアジャスターという損害調査を行う専門家がいますので,損害調査を行う前に相手が勝手に車の修理を終えてしまうと重要な証拠が失われてしまう可能性があるので,速やかに警察の次は保険会社に連絡してください。

PT:はい。

A:それと信頼できる代理店がいるのであれば保険代理店へ連絡をすると,サポートしてもらえると思います。以上ですかね。

PT:入口先生,補足ありますか。

I:だいたい安彦先生がお話ししていたとおりだと思うんですけど…当然ですけど相手の方と連絡先を交換していると思うので,まぁしないと連絡がとれない場合もあるので,そこはすべきかなというところですね。あと,事故直後に全然むち打ち等もなくて,物損だけで大丈夫かなあと思ったら,後で痛みが来たりする場合もあるので,とりあえず1回でもいいから病院いったがいいんじゃないかなっていうとこは,絶対痛くないならいいんですけど,あると思います。

PT:アメリカでは事故が起きても謝罪はせずに弁護士呼べみたいなこと言いますけれども,事故が起きたあとに謝罪をすることについてどう思いますか。

A:えー,明らかに過失割合が100対0の案件だと謝罪をした方がいいと思うんですけれども,双方が動いていたのであれば,過失割合等が発生するわけですし,その過失割合の判断というのが法的判断になってくるので,謝ってしまうと自分の方がより過失が大きいことを認めるような感じになってしまうので,後の示談がしにくくなる可能性があります。『保険に入っていますんで,保険で対応させていただきます』ぐらいの話でやっていただければいいと思いますね。 ただ,自分から追突したりしている場合は,謝罪しないとまずいかなと思います。

PT:(入口弁護士へ)どう思いますか。

I:そうですね。よく相談とか依頼を受ける場合も,相手は事故後すぐ謝ったのに,後で謝ってないとか言い出したりして,より紛争が激しくなるとかあったりします。あと保険会社にその後の相手の方が相談して保険会社の言いなりになっていて,トラブルが余計に悪化するということもあるようです。なので,安彦先生が言われたように完全にこっちが悪い(100対0)場合だったら,謝らないとそれこそ紛争が激化するんですけど,どっちともとらえようがない場合は,下手に謝ると余計に紛争が激化することがあるので,そこら辺については『保険会社通して』としていた方がまずはいいのではないかと思います。
A:あと補足なんですけど,交通事故の場合,何をもって加害者・被害者とするかっていうのは,弁護士,保険会社の社員とで見解が分かれていて,僕は過失の割合が多い方が加害者で,少ない方が被害者だと考えています。相手がたとえ死んでいようが過失割合が高いんだったら,向こうの過失割合が高い方が加害者になるというのが,過失責任の原則からしたら当然だと思うんです(過失割合が低いが結果として被害が小さい方に責任を負わさない)。中には怪我をさせた者が加害者だという価値観を持っている人もいるんですけど,法律的にそれはおかしいと思います。向こうの方が怪我の程度が大きくても過失割合が大きい場合もある。そういう場合は,謝ると後々の示談とか過失割合の交渉が難航してしまう可能性もあるので,一応怪我させてしまっても,双方が動いていた場合は『保険で対応させていただきます』と言っておいた方がいいですね。
保険会社の場合は圧倒的多数なんですけど,世間一般ではより大きい怪我をさせた方が悪いと思っている価値観を持っていると思います。
民法自体が過失責任の原則なので,加害者というと過失の大きい方であり,怪我の大小はあくまでも結果にすぎない。価値観によって違うのですけど,刑法でいう行為無価値的な考え方を持っていて,結果責任を負わせようという「目には目を」という人も中にはいるとは思います。まあ追突とかは謝らざるをえないと思いますけどね。

PT:ちなみに事故後すぐに示談したとしても,後に後遺障害が発覚した場合は,損害賠償請求できるという最高裁判決があると思うのでそこは補足しておきます。

< (4)依頼者の負担として大きいこととそれに対して弁護士としてできることは何ですか? >

次に依頼者の負担として大きいこととそれに対して弁護士としてできること。何かありますか。
A:さっきいったように示談ですね。

PT:他は?

A:あとは謝罪ですよね。

PT:病院を変えまくるのはどうですか?整骨院へ行ったりするとかは?

A:僕は外科に行った方がいいとアドバイスしています。保険会社はすごい整骨院通院を嫌うので。
I:ですよね。
A:ただ保険会社の医療インスペクターも医師に言われたらすぐに引き下がるので,お医者さんを何とか味方につけて,医学的他覚所見がないとしても医学的に痛いと説明できるんだって医師に言ってもらえると保険会社はすぐ帰っていく。
ただ整骨院に対してはがんがん強気で言います,保険会社,一括指定をすぐ解除しますね。医師がもう来なくていいって言っているのに整骨院に変わっていった場合は,そこまでしか損害賠償を負わないので症状固定ですって一括指定解除するらしいので。ただ医師が医学的にこうだっていうとたいてい引き下がりますね。平均治療1か月2か月程度では。

PT:わかりました。もう一度,依頼者の負担として大きいこと,それに対して弁護士ができることはどうですか。

A:事故に遭われた方は保険知識や法律知識がない方が多いので,仮に弁護士に依頼できないで自分で調べなきゃいけなくなるとすると負担になるんじゃないですかね。だから弁護士がすべきことは法律とか保険の知識を教えてあげて,今後の解決に向けた進め方をしっかり説明する。ちゃんと説明して不安を抱えておられる方に対して,その不安を解消させることですかね。

PT:うん。入口さんは?

I:そうですねー。事故の態様・状況によっても違うところはあると思うんですけど,例えば過失割合に争いがある場合に,過失割合の類型やどういったパターンがあって,標準みたい類型がそもそもあるかどうかっていうことも含めて,通常は知らない方が多いです。そういう中,自分で相手の保険会社の担当者と交渉してもなかなかうまくいかずに,言いくるめられてしまうという場合もあり,相当負担もあると思います。また過失割合のことについて自分で調べるのには限界があるので,専門的な弁護士に任せた方がいいと思います。損害のことも含めて通院慰謝料等も大抵保険会社の基準で提示されて,それでよくわからないので了承したらそれで終わりとなってしまうこともある。でも弁護士が裁判基準で交渉したら金額があがる可能性が高いので,弁護士に頼む利便性とかあるんじゃないかなと思います。
ただ,少額の物損で10万,20万のパターンの時に,過失割合に納得がいかない,金額じゃないというパターンの時に弁護士費用特約が使えないと費用倒れになるので,そこらへんを自分で交渉するっていうのは難しいので,どうにかならないかなとは思いますけど。

PT:弁護士費用特約ってなるべくつけた方がいいんですかね?

A:そうですね。100対0で相手が保険に入ってなかった場合は,過失割合が0の方の保険会社が示談代行に入れないので債権回収を自分でやらないといけないですからね。弁護士に債権回収を頼むとするとすごいお金がかかる。10万円の物損だったら弁護士の着手金の方がはるかに高いので,結局向こうが払わなかったら泣き寝入りの可能性がありますよね。自賠責の被害者請求等についても弁護士費用特約がついていれば相談にのれますので。
I:安彦先生が保険会社で働いている時からあったんですか,弁護士費用特約は。
A:ありました。ただ,もともと100対0の事故の時に,あくまでも自動車は対人賠償対物賠償なので,過失割合が0の方の保険会社としては,賠償金として払うものがないので,示談代行に入れない,非弁行為になってしまう。そうなってくるとお客様は保険代理店に文句を言ってくる。でも代理店が入っても非弁行為になる,ということがあったので,弁護士費用特約は100対0の事故の時に力を発揮しますというのが本来の営業マンのコンセプトだったんです。
代理店からすると,クレームから自分たちを守るためだったということのようです。
お客様からすると,自分が任意保険に入っているのに,保険会社が示談交渉に対応してくれないというのはどういうことだという話になる。100対0での事故で,賠償保険入っていてけれども,過失割合0の方は賠償するものない。じゃあ,一般民事の事件として賠償金の債権回収することになりますよねと。ただそれは弁護士しかできないんです。

PT:債権回収だけだったら,保険会社は交渉代理ができないから,だから特約になるんですね。なるほどそういうことなんだー。

I:へー,それは知らなかった。
A:弁護士費用特約は僕らの時代にできたものだけど,実は過失割合に争いがある場合であっても約款上弁護士費用を払ってもらえると言って,いろんな法律事務所が利用して,利用数が当初から比べても3から5倍ぐらいになっているともいわれています。

< (5)交通事故事件の相談を積極的に受けるための工夫は,どのようにしていますか? >

PT:じゃあ最後に交通事故の事件の相談を積極的に受けるためにどんな工夫ができますか。

A:いやー,これまだ何もできてないんですよね。

PT:あるいは,今後どういう事を考えていますか。

A:今後はファイナンシャルプランナー,保険会社との連携強化ですかね。早めに弁護士への相談アクセスしてもらうっていうのを,事故に遭う可能性のある人たちに対して周知徹底していただくと。そもそも事故に遭ってから結構遅くに来られた場合,証拠も何もない状態で持って来られても交渉が難しい可能性がある。

PT:他は?

A:弁護士に頼むと賠償金額が上がるっていうのはネット広告とか他の弁護士事務所が広告してくれていますから,あとは当事務所も交通事故案件をやっているよっていうのを広報することでしょうね。

PT:たぶん交通事故にあってパブリックに相談行ってみようっていう発想があんまりないと思うんですけど,当然弁護士業務としてやってきているわけですし,弁護士数も多いので件数もかなりしているんですけれども,その辺も交通事故センターとしてアピールしていかないといけないですよね。

A:そうですね。
I:私は玉野支所所属ですけど,玉野の地域は,高齢者の方が多いのもあって,比較的高齢者の事故が多いので,事故で加害者側になる方もいれば被害者側になる方も多いと思うんです。弁護士費用特約を付けているにもかかわらず,よくわからないで,弁護士が入らずに適当に交渉が進んでいくということもあると思います。
なので,地域の方々に交通事故に遭ったらこういった特約があってとこういう風に利用ができますというような弁護士の使い方とかもアピールをして,地域にいる弁護士としてはそういうこともしていけたらいいなと。それが交通事故の相談件数増加にも繋がるかなと思っています。
A:重要性は,保険代理店に弁護士費用特約をつけてもらえないことが問題なんだと思います。実は弁護士費用特約を使っても代理店の損害があがるんですけど手数料率に反映されないんですよ。代理店の手数料って色々な要因があるんですけど,一つは自分が持っている契約のうちでどれだけ支払ったかっていうのが一つの大きな指標になるんですよ。いわゆる損害率といわれるものです。ただ弁護士費用特約を使ってもそこはカウントされなかったんですよね。だから使っても代理店は懐が痛まないから代理店はガンガン進めてもいいはずなんですよね。

PT:今の手数料率と損害率は同じ意味ですか。

A:いや,例えば1億の保険金支払いをする代理店だったとしても,契約者から1億の保険料をもらっているわけではないじゃないですか。そのお客さんがいくら保険料を払うかっていうのが損害率なんですよ。
(※損害率=契約者などから受け取った保険料収入など(正味収入保険料)に対して,支払った保険金と損害調査費用がどの程度の割合を占めるかを表した指標)
ただ,損害率にカウントされない支払いがある。弁護士特約費用で出たものとかは,もともと100対0での事故が想定されていたからかわからないんですけど,支払った損害の中にカウントされないんですよ。そこにカウントされないから,保険会社が弁護士特約の費用払っても代理店としては何も痛まないから,デメリットがないから,代理店は進めてもいいと思うんですよね。代理店に対して保険会社の営業マンがやるべきことなんでしょうけど,こちらからもアピールをしていくべきなんじゃないかなと思います。

PT:なんか正直よくわからない世界(笑)。

A:お客さんからしたらメリットしかないはずなんです,約3000円で。
I:負担的にはそんなに高くないですよね。
A:メリットを考えたら。

PT:あとは,交通事故って本当に重い後遺障害が残ったら,ある日突然本人の生活が変わる出来事だと思うので,その辺はきちんと丁寧かつ迅速に処理することが望ましいですよね,難しいことだけれども。丁寧に対応できるためにはどういう工夫をしていますか。

A:そうですね…。

PT:やはり複数対応?

A:あと高度後遺障害が残ったら,本人が証拠収集できない状態だと思いますので,すぐ受任にして,周りの人達が後の訴訟なり示談交渉に備えて,事故状況等抑えて証拠を抑える必要があると思うんですね。さらに実況見分調書については,本人が入院すると相手に一方的に書かれる可能性があるんですよね。だからそういうのも早めに,本人が集中治療室に入ってる間に相手方の加害者の話聞いて作られたりするので,その辺を早めにこっちがなんとかどういう事故が後から事故状況とかちゃんと証拠集めて証拠化するには迅速にする必要があるのかなあと。

PT:そうなってくると,まずすべきことは,警察・保険会社への連絡に加えて弁護士に相談ということになってくるのか。

A:代理店がしっかりしてれば,代理店から弁護士に連絡がくるんですけど,代理店次第ってところがあるんですよね,結局は。

PT:まあなんにせよ弁護士に相談っていうことを視野にいれて,できれば一度話を聞いてみるってことが大事になるのかなっていうところなんですかね。

A:そうですね。

PT:あと余談ですけど,将来自動運転になったらこの業界はどうなるんですか。

A:自動運転の切り替えが,多分人が運転するよりも事故率が低くなった時っていう話になるから,自動運転になったとしても事故は起きると思います。100%事故が起きないようなほぼ自動運転になるのは,100年以上後じゃないですかね。今のところ自動運転は補助的なものに過ぎないのではと思います。

PT:でも自動運転で,あまり事故起きてないでしょ。

A:じゃあ,PL保険に変わるかな。

PT:PL?あぁ,製造物責任に変わっていく,そういうことなのかな。

A:ただ今の時点では自動運転はあくまでも補助だっていう裁判例出ていましたね。過信しすぎて止まらなかったといったとしても。自動ブレーキ技術はあくまでも補助なんだとメーカーもそういう説明ですよね。

PT:裁判例じゃなくて検察庁の起訴不起訴の判断じゃないかな。

A:そうなんですかね。まあとりあえずここ10年は大丈夫。20年はちょっと変わる。30年はアウト。ざっくりにいうと(笑)
A:ただ日本の車っていうのが,レトロな車を好きな人もいっぱいいるから,自動運転にすべて切り替わるっていうのが,だって30年前の車で走ってるわけじゃないですか。自動運転の車にすべてかわるというと50年100年のスパンで見ないと。

PT:そんなにかかんないと思うけど。マニュアルからオートマに変わったのだってそんなに期間かかってないでしょ。

A:でも走る人は,2000年ぐらいのスカイラインが一番人気ありますもんいまだに。自動運転が嫌いの人もいる。

PT:あとは言い足りないことはないですか。

I:大丈夫です。
A:あとは広報PTがいかに頑張るかですかね。

PT:いやーそれはちがうでしょ(笑)。じゃあ終わりましょうか。

(二人):お疲れ様でした。

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