刑事

刑事事件

刑事事件で利用できる弁護とその内容

 

第一 当番弁護士制度

概要 当番弁護士制度とは、逮捕された方のところ(警察署など)に依頼を受けた弁護士が駆けつけ、一度だけ無料で接見をする制度です。
刑事・裁判手続についての説明や、不利な取扱いを受けないためのアドバイスなどを弁護士から受けることができます。
利用できる事件 逮捕されたときには、原則、どのような事件でも利用可能です。
利用可能な方 逮捕された方であれば、原則、誰でも利用可能です。成年・未成年を問いません。
費用 無料です。
就任する弁護士 当番弁護を依頼した日に担当になっている弁護士が接見を行います。

 

第二 被疑者国選

概要 被疑者国選とは、犯罪の嫌疑をかけられて捜査対象になっているものの、まだ起訴・不起訴などの処分が決まっていない方について、収入が少ないなどの理由で自分の費用では弁護士を頼めない場合に、国が弁護費用を支出して弁護人を選任する制度です。
被疑者国選を利用すると、お金がなくて私選(第四参照)弁護人を依頼できない場合でも、捜査段階から弁護人による支援を受けることができます。
利用できる事件 被疑者国選を利用できるのは、勾留状が発せられている被疑者の方で、原則、資力がない方です。*「勾留」とは、逮捕の後、逮捕よりも長い期間(原則10日間、勾留延長手続がされる場合は20日間)身体を拘束する手続です。なお、逮捕で身体を拘束できる時間は48時間です。
*「資力がない」とは、50万円以上の現金や預金を持っていない場合をいいます。50万円以上の金融資産がある場合、原則として被疑者国選は利用できません。
*平成30年6月1日、対象事件の範囲が、被疑者に勾留状が発せられた全事件に拡大されました。
利用可能な方 勾留状が発せられている被疑者の方で、原則、資力のない方が利用可能です。
費用 国費負担となり無料となることがほとんどですが、事情により国から弁護費用の返還を求められる場合があります。
就任する弁護士 原則として、法テラスに登録している弁護士の中から法テラス経由で選任されます。自由に弁護士を選ぶことはできません。被疑者国選の利用を希望する場合、勾留されている警察署や、担当裁判官や検察官などに、被疑者国選弁護人を選任したい旨、申し出てください。*一定の場合には、資力申告書の提出を求められます。詳しくは法テラスにお尋ねください。

 

第三 被告人国選

概要 被告人国選とは、刑事事件で裁判所に起訴された方が、収入が少ないなどの理由で自分で弁護人を選任できない場合に、国が国費により弁護人を付ける制度です。被告人の国選弁護人は、裁判所で判決が出るまでの期間、裁判手続に必要な弁護活動を行います。
利用できる事件 原則、全ての事件で利用できます。
一部の重大事件や被告人が高齢である場合などは、裁判所により、被告人の請求がなくても必ず国選弁護人が付けられますが、それ以外の場合には被告人の請求が必要です。
利用可能な方 原則、資力のない方が利用可能です。
費用 裁判所の判決で決まります。
判決で、被告人が訴訟費用を負担するよう言い渡された場合には、被告人の方で費用をが負担する必要が生じます。それ以外の場合は、国費負担となり無料になります。
就任する弁護士 原則として、法テラスに登録している弁護士の中から法テラス経由で選任されます。自由に弁護士を選ぶことはできません。
被告人国選の利用を希望する場合、勾留されている警察署や、担当裁判官や検察官などに、被疑者国選弁護人を選任したい旨、申し出てください。*一定の場合には、資力申告書の提出を求められます。詳しくは法テラスにお尋ねください。

 

第四 私選弁護

概要 私選弁護とは、被告人や被疑者の方、その親族等が、個人的に、自分の費用で刑事弁護を依頼するものです。私選弁護人の活動内容は、依頼した弁護士との契約によって異なります。
利用できる事件 全ての事件で利用できます。
利用可能な方 どなたでも利用できます。
費用 依頼する弁護士により異なります。

*当事務所の私選弁護の報酬基準額はこちらでご確認ください
就任する弁護士 ご依頼になった弁護士が就任します。
利用方法 原則、ご依頼になりたい弁護士に直接ご相談ください。

*なお、どの弁護士に依頼すればよいか分からないという場合、まずは各弁護士会の相談窓口をご利用ください。

 

第五 日弁連の委託援助制度

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被疑者についての日弁連委託援助制度

身体拘束中で勾留状が発せられていない被疑者の方(逮捕されている方)については、本来であれば、自ら費用を出していただいて私選弁護人を選任していただかなければなりません。
しかし、それでは逮捕後、勾留される前の段階において、弁護人を付して防御権を行使することができなくなってしまいます。そのため、日本弁護士連合会には、身体を拘束されており、勾留される前の被疑者の方については、日本弁護士連合会が弁護費用を援助して弁護人を選任できる制度があります(事前審査がありますので全ての事件で利用できるわけではありません)。

少年についての日弁連委託援助制度

少年が逮捕・勾留された場合、勾留状が発せられた後、勾留が終わるまでは国選弁護人が付くことになりますが、家庭裁判所に事件が送致されて勾留が終わると、①検察官関与事件、②裁量国選付添事件(一部の重大事件)、③被害者による審判傍聴の申出事件以外には、少年の付添人が選任されません。
そのため、必要であれば、自ら費用を出していただいて私選で少年付添人を選任していただかなければなりません。しかし、勾留後も観護措置といって少年鑑別所に身体を拘束される場合もあり、少年付添人の活動が必要な場合も多くあります。
そこで、日本弁護士連合会では、国選付添人が選任されず、私選で付添人を選任する費用も出せない方のために、日本弁護士連合会が弁護費用を援助して付添人を選任できる制度を設けています。
日本弁護士連合会では、弁護士費用を支出できない方のために、以上のような制度を設けておりますので、刑事事件で弁護士を必要とされている方はご利用をご相談ください。

*「付添人」とは、少年が家庭裁判所に送致された後、少年本人及びその保護者が選任する者です(弁護士以外が付添人になる場合には、家庭裁判所の許可が必要です)。付添人は、成人事件における弁護人のような役割を果たしますが、より福祉的な機能を重視し、少年の処罰ではなく更生に向けての活動をサポートするパートナーです。

日弁連HPへのリンク